今週の相場メモ #1──数字だけで振り返る1週間

毎週水曜に、その週の相場を「数字だけ」で振り返るシリーズを始めることにした。
コメンテーターの解釈も、アナリストの予想も、いったん脇に置く。まずは数字。数字を見て、自分の頭で考える。それが投資家の基本だと僕は思っている。
……とはいえ、今週は数字を並べるだけで胃が痛くなる1週間だった。
📊 今週の主要数字

日経平均株価
2月26日の高値59,332円から、わずか3営業日で世界が変わった。
3月2日(月)は米国・イスラエルによるイラン攻撃の第一報を受けて急落。終値は前日比約1,500円安。朝方は下げ渋る場面もあったが、引けにかけて売りが加速した。
3月3日(火)はさらに売りが広がり、終値は56,155円。前日比マイナス1,901円(▲3.28%)。一時は1,600円超の下落で56,000円台前半まで突っ込んだ。東証プライムの値下がり銘柄数は1,442と全体の約9割。ほぼ全面安だ。
高値からの下落幅は約3,200円。率にして5.4%。数字だけ見れば「調整」の範囲だが、体感は「暴落」に近い。
原油(WTI)
今週最大のインパクトはここだった。
2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を実施。イランの最高指導者ハメネイ師の死亡が報じられた。
WTI原油先物は週明け3月2日に一時75.33ドルまで急騰。前週末比で12%超の上昇だ。8ヶ月ぶりの高値になる。北海ブレントも一時82ドル台をつけた。
背景にあるのはホルムズ海峡の事実上の封鎖だ。世界の石油海上輸送の約27%がこの海峡を通過する。タンカーの被害も報じられ、少なくとも3隻が損傷、船員1名が死亡している。
一方、OPECプラスは3月1日に4月から日量20.6万バレルの増産を決定。ただし、主要産油国の多くがホルムズ海峡を利用するため、増産が実際に供給を安定させるかは不透明な状況だ。
為替(ドル円)
ドル円は157円台で推移。中東リスクによるドル需要と、日本株売り→円買いの動きが交錯し、方向感が出にくい展開。今後の中東情勢次第で大きく振れる可能性がある。
アジア市場
日本だけではない。韓国KOSPIは一時6%安。上海総合指数も1%超の下落。サウジのタダウル全株指数は2.2%安(ただしアラムコの上昇が下支え)。エジプトの主要指数も2.5%安。リスク回避は世界同時進行だ。
📌 今週、僕が気になった3つのポイント
1. 「想定外」が連続する地政学リスク
2月26日時点では59,000円台に乗せ、年初来高値圏だった日経平均が、たった数日で3,200円消えた。2025年6月のイラン核施設攻撃の時はWTIが78ドルまで上がったが、停戦合意で急落した。今回はハメネイ師の死亡という前回よりも深刻な事態。同じパターンにはならないかもしれない。
2. エネルギー関連株と防衛関連株の明暗
全面安の中でも、INPEXや石油資源開発といったエネルギー株は買われた。防衛関連も同様だ。「有事に何が買われるか」は、リスク管理の基本中の基本。自分のポートフォリオがどういうシナリオに弱いか、今週のうちに点検しておきたい。
3. 個人投資家の「含み益バブル」が試される
2月までの上昇相場で含み益を抱えていた人は多いはずだ。その含み益が一気に溶ける体験を、今週している人も少なくないだろう。こういうときに冷静でいられるかどうかが、投資家としての分岐点になると僕は思っている。
📅 来週の注目イベント

来週は米国の雇用統計(金曜)が控えている。中東情勢に加えて米国の景気動向も見なければならない。正直、変数が多すぎて予測は難しい。だからこそ、数字を追い続けるしかない。
ひとりごと
月曜の朝、モーニングサテライトをつけた瞬間の画面が赤一色だった。コーヒーを淹れる手が止まった。20年やっていても、この瞬間には慣れない。慣れないけど、慣れないからこそ、数字を書き留める。感情で売買しないための、僕なりの儀式みたいなものだ。